レポート 2021年5月26日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(座長:脇田隆字・国立感染症研究所所長)の5月26日の第36回会合で、「おはなしはマスク」とのキャッチコピーで、マスク着用徹底に取り組む「福井モデル」が紹介された。COVID-19陽性者の約85%が「マスクなし」の会話と関係するというエビデンスを基に、「マスク会食推進店」を指定、同店で利用可能な食事券を配布し、感染防止と経済再生の両立を目指している。

 広島県でも、独自の積極的疫学調査J-SPEEDデータを用いた分析で、一定の場面で「マスク着用あり」の場合は、「マスク着用なし」と比較して陽性率が減少するエビデンスが得られている(資料は、厚労省のホームページ)。

非公開会合後の会見で、脇田座長は「一部地域でマスクの効果に関する分析がなされているが、このような結果も踏まえれば、会食時を含め会話の際にマスクの着用を徹底することは重要。引き続き、職場や学校を含め、日常生活の様々な場面で、マスクの正しい着用等基本的な感染予防対策を行うことの重要さを発信することが必要」と説明。一方で、こうした発信が、「マスクさえすれば大丈夫」というメッセージとなる懸念もあることから、「遵守の徹底が難しいことにも留意が必要」と釘を刺し、手洗いや3密回避、換気などの対策の重要性も強調した。

(2021年5月26日厚労省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料)

福井県では、徹底した積極的疫学調査を行い、濃厚接触者に加えて、接触可能性がある人にも幅広くPCR検査を実施。その結果、2021年4月のCOVID-19陽性者のうち84.6%が「マスクなし」で感染していた。「マスクなし」感染の内訳は、「飲食あり」が67.8%で、マスクを外し、飲食をする場面の感染リスクが高いことが改めて明らかになった。

この結果を踏まえ、2020年7月から開始した「感染防止徹底宣言」ステッカー登録店を、この4月から「マスク会食推進店」に指定、「おはなしはマスク」の広報も開始。5月からは同店でのみ利用可能な「Go Toイート福井お食事券」の販売を再開した。6月には飲食店を現地確認し、認証を取れない場合には同食事券利用の対象外とし、認証店舗には奨励金10万円を支給する予定だ。

広島のデータは、2020年2月から5月にかけて県内で実施された積極的疫学調査J-SPEEDデータ(n=1434)に基づく。さまざまな場面でマスクの有無で感染リスク低減効果を調べている。

(2021年5月26日厚労省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料)

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