ワクチンは人体実験、皆殺し作戦…永田町「反ワクチン集会」彼らの主張とは
拍手に包まれた永田町「反ワクチン集会」詳報
反ワクチン派の主張とは?
「新型コロナワクチンに警鐘を鳴らす医師と議員の会」による記者会見が6月24日、東京都千代田区の参議院議員会館で行われた。会見前には医師390人、地方議員60人の計450人による「接種中止を求める嘆願書」が厚生労働省に提出された。質疑応答も含めておよそ2時間弱。ワクチンの危険性を訴える“過激派”が集まった記者会見をリモートで視聴した。 議員として筆頭に名を連ねたのは日野市議会議員の池田利恵氏。全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会で活動、ワクチン忌避の急先鋒として有名な人物だ。会見は終始、池田氏の軽妙な司会で進んだ。 発起人は「クリニック徳」(名古屋市)の高橋徳医師。ウィスコンシン医科大学名誉教授の肩書きで、ネット上の反ワクチン論者からよく名前が挙がる。同医師のクリニックは「波動医学」「(オーラを浄化し強くする)スピリチュアルヒーリング」などを推奨している。 高橋医師は会見の冒頭で、今回のワクチンとインフルエンザワクチンの接種後の死者数の比較などを紹介。「ワクチン接種後」と「ワクチンが原因」は意味が違うのを医師なら知っているはずだが、そうした説明はあえて飛ばしたのか。会見を通じ、高橋医師の「接種後に356人死んだ」「ワクチンは有害無益である」との主張がメインとなり、登壇者から投げかけられた。 高橋医師と並んで会の中心となっているのは中村篤史医師。独自栄養学による代替医療「オーソモレキュラー」で診察をするナカムラクリニック(神戸市)の院長だ。SNSでワクチン忌避を煽る寄稿を続け、その界隈の支持を集める存在である。
「ワクチンは人体実験だ」と述べる市議会議員
中村医師はスライドを使い、mRNAワクチンの仕組みを解説。 「リスクが少ないと言われるが、これだけ亡くなっている」と高橋医師に同調し、「(死亡例には)ちゃんと理由があってメカニズムも分かっている」と分析に自信を示した。問題ないと報告されている妊婦の接種についても、米国疾病予防センターの有害事象報告(VAERS)を引用し、その中からワクチン接種後に流産したという個人の訴えを一つひとつ紹介。さらに、接種者の母乳を飲んだ赤ん坊が「頭からつま先までぶつぶつだらけになって治療後に死んだ」などと伝えた。 中村医師はこれら全てをワクチンが原因だと疑っているようだ。健康な妊婦でも流産は一定の割合で起こり、乳幼児の発疹や突然死症候群などもよくあるようだが、そういった説明はなかった。 メンバーのど真ん中に座り、ひときわ発言力があったのは谷本誠一呉市議会議員だった。ハキハキと通る高い声で、「(厚労省が)コロナ死の水増しを公文書で支持した」「(厚労省はPCR陽性とコロナ死の関係については)答えようがない。はっきり答えたら矛盾が暴露され、政権が吹っ飛んでしまうからだ」などと持論を展開。 多くのファクト・チェックによって否定されている「治験が終わっていない」という説や、陰謀論混じりの「作られたパンデミック」も堂々と述べた上で、「国民は人体実験の対象」として「即刻、このコロナワクチン接種事業を中止ではなく、廃止すべきと考えている」と声を上ずらせ、拍手を浴びて演説を締めくくった。根拠が曖昧なものについては政治家らしく「と、言われても仕方がない」「と、言えるのではないか」などの言い回しが印象的だった。
「ワクチンは人類皆殺し作戦である」
集会は上記の医師と議員が中心だったが、その後ろの席にも医師、歯科医、ジャーナリストらが並んだ。 中でも異彩を放ったのが、ジャーナリストの船瀬俊介氏。 司会の池田市議から「この会の統一の見解ではないが、こういう意見もある」と振られて発言を許された船瀬氏は「一言でいえばワクチンは人類皆殺し作戦」「闇の連中が9割人口を減らすと言っている」「奴らは皆殺しを始めた」などと発言。さすがに途中で池田市議に「ハイ、ありがとうございましたー。あくまでも個人的な見解です」と止められ、会場からは笑いが起こった。 そして、終盤の質疑応答。 同日に河野太郎ワクチン担当大臣が「ワクチンデマについて」とのブログを更新し「医師免許を持っていてもデマを流す人が」と指摘したことを問われ、高橋医師は「厚労省が出したデータに基づいてワクチンは有害無益だと言った。デマでもなんでもない。出所は厚労省のホームページです」と不機嫌そうに返答していた。 これに対し池田市議が「デマを流している医者というのはテレビでご活躍されている方々では」と発すると、会場から大喝采が沸き起こった。池田市議はその流れで、前年度よりも全国の死者数が減ったことを厚労省の資料から紹介し「誠実な数字を誠実に伝えていくことがこの会の趣旨」と語った。
「子供と親が率先してノーマスク宣言を」という提言も……
他の質問では子ども達へのマスク着用の懸念に話が及び、谷本議員が「強制はできないからお子様と保護者がノーマスク宣言をして増やしていけばいい。ボトムアップで既成事実を作ってひっくり返すしかない」と話してまた歓声を浴びていた。ワクチン同様にマスクにも懐疑的な集まりだったようで、会見中に着用している人はわずかだった。 テレビや新聞の記者の出席はなかったのだろうか。質問者がこの会への感謝の言葉を述べたり、中には「ぜひWHOに代わる組織を」との要望まで飛び出したりしていた。名乗らずとも多くの人が司会進行に名前を知られていたことも気になった。ほぼ全員がこの会の主張に初めから賛同しているような空間であり、まるで内輪の集まりのようだった。 参議院議員会館内でこうした思想的な集会が認可されたことは物議を醸すだろう。高橋医師は、ワクチン接種中止に関する署名を一般にも広める意向で「何十万と集めて大きな流れにしていきたい」そうだ。 接種を進めたい政府の思惑とは裏腹に、扇動的な「反ワクチン運動」が、奇しくも永田町から始まってしまった様相だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2bcd75d652b40b1e4880c44c9885597b4eab4fcc